神々の鎮座まします霧島の山々を宮崎県の側から眺めます


by ai-bannri
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

哀しい人

斎場からいったん帰ると精進落としの膳が整っていた。
高脚膳が向かい合わせにおいてあってそれぞれがてんでに席についてゆく。
自分たち3人は入り口近くに場所を取りひとつ空いたところに甥の妹を呼んで座ってもらった。
甥の妹も自分の母親が離縁されているから遠慮しているのだ。

「え、お一人ですか?」という声がしてそこを見れば一人取り残された故人の妻に式場の従業員が同情のことばをかけている。
誰も一緒に食事をしてやろうとは思わないらしい。
彼女の兄や姪もいるのにどうなっているのだ。

私のところへいらっしゃいと呼ぶけれどもそれも具合が悪いらしい。
じゃ、そっちへ行くわと甥の妹には「せっかく一緒に食べようと思ったのにごめんね」と声をかける。
ほんとにごめん!

亡き人の妻は夏に会ったとき以来ずいぶん痩せているので「どうしたの」ときくと「気疲れでご飯がのどを通らないのよ」と信じられないことを臆面も無くいう。
嘘だろう。
今だって男でももてあます量のお膳を平らげているではないか。
糖尿病も心配なんだからその体重はキープしたらいいわね。
病気になっても見舞いには行かないからね。
「ううん、万里さんならきっときてくれるよ」
などと、不謹慎なおしゃべりをしていると甥もきてくれたので
「お母さんなんだから可愛がってやってね」とかなえられそうも無いお願いをする。
by ai-bannri | 2007-02-06 22:24 | 荒磯のうた