神々の鎮座まします霧島の山々を宮崎県の側から眺めます


by ai-bannri
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甦る精霊

前日はファミリアについている古いナビは助けにもならず、駅周辺の狭い路地に入り込んで冷や汗をかいた。
同乗者が実兄だったからよかったものの義姉がいたら彼女の不安がる言葉が気になって車体をこすっていたかもしれない。

二度目なのでスムースに着いた。
義兄の叔母さんたちとは姉の結婚式以来なので顔を見ても記憶にすらないが
「長いご無沙汰」を申し訳ないと挨拶をする。
亡くなった義兄の嫁様はどうも通夜の「夜伽」をしなかったたらしい。
みなが揃うころあらわれて立ったまま軽い会釈で挨拶を済ましている。
義兄の妹のKちゃんが、親戚の方に挨拶をしてと促すと「もうしました」

義兄の遺志なのか甥の意向なのか身内だけの告別式を気遣って甥の叔父が、
「簡素な式はこんないきさつで・・・・」と私に説いている。
自分はそんなことはまったく気にはしないので、今日思い出した義兄の母さまから聞いた話をする。40年も昔に聞いたことだ。
「あなたたちのお父様はいよいよ命がはかないと思われたとき、天候ばかりを気にされて晴れておれば今死ねば道中が楽だと、空が荒れれば列席者に不自由をかける」と、葬式にこられる方の都合ばかりを案じておられたとお母様から聞いておりますよ。
長患いをされたお兄さんが簡素な式を希望されたのはかつてのお父様のお気持ちと同じでしょうねと話すと、
他人(ひと)に気を使っていた父君を思い出されてしばしは無言であった。

なぜこんなことを思い出したのだろう
きっと今日会った義兄の叔母さんがあまりにもかのひとに似ていたからだろうか。

30人ほどの人が丁重に香を手向けても一時間ほどで棺の蓋は閉ざされて野辺の送りになった。

河内と大和の境の山の頂近いあたりにある斎場で荼毘に付されてその白い骨を拾って小さな壷にいれる。
今頃は姉の迎えを受けているかなと思えば甥に不幸を知らされた夜ほどの涙も出てこない。
甥の大きな手に若々しい手を添えて骨を拾って壷に移す姉の姿を見た。
by ai-bannri | 2007-02-05 01:58 | 荒磯のうた